土方歳三という生き方
幕末は優れた人材が輩出した時期ですが、心に残る歴史的人物はいますか?
一人選ぶのは難しいですが、土方歳三はやっぱり凄いと思います。土方歳三をモデルにした作品は司馬遼太郎の「燃えよ剣」やアニメの「薄桜鬼」など、数え切れません。若かったっころの土方は武士や新撰組の副長になるとは思っていなかったと思いますが、それ以上にアニメの主人公になるとは予想だにしなかったことと思います。芸者からもらった数々の恋文を親戚に送って自慢した彼ですから、死後も尚モテモテな現状を彼岸でほくそ笑んでいるのではないでしょうか。
土方歳三は三十四年の短い生涯で、新撰組副長になり、蝦夷島政府陸軍奉行並になったという以上に、土方歳三になったのだと思います。そしてその自分の本領を遺憾無く発揮した完成した生き様に、僕たちは憧憬し、夢を見るのではないでしょうか。幕府を守るという大義は達し得なかったものの、個人としてのあり方の一つのテンプレートという大義を超越した普遍的な遺産を残した人物。それが土方歳三であり、彼の人気が今も絶えない理由だと思います。